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情報掲示板【医科】 / 社保情報

【医科】後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

(更新履歴)

2024年9月12日 ホームページに掲載しました。
2024年9月27日 厚労省疑義解釈(その3)を受けて内容を変更しました。
2024年10月2日 フローチャートを変更しました。
2024年10月3日 よくあるQ&Aに追加しました。
2024年10月9日 よくあるQ&Aを一部訂正しました。訂正は赤字
2024年10月17日 よくあるQ&Aに「労災保険 関連」「公害医療 関連」を追加しました。

1.概要~長期収載品の選定療養とは

⑴ 「対象となる長期収載品(下記「2」⑴)」を「患者の希望」により処方した場合、通常の13割の患者一部負担金とは別に「長期収載品と後発医薬品(最高価格)の価格差の4分の1を選定療養として徴収する」という仕組み。令和6年10月1日から実施される。

「院内処方」の例
(厚労省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html より)
 先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円を、通常の1~3割の患者一部負担金とは別に「特別の料金」として医療機関の窓口で徴収する。また、「特別の料金」は、課税対象であるため、消費税分を加えて徴収する。


⑵ 当該仕組みに該当する場合、「院外処方」「院内処方」のいずれにおいても、処方箋料や処方料等の算定点数に変更はないが、「院内処方」の場合は、患者一部負担金とは別に「特別の料金」を徴収することになる。(院外処方の場合は、調剤薬局が「特別の料金」を徴収する)

⑶ 選定療養の対象となるのは、以下①~③の全てに該当する場合である。(入院中の患者は選定療養の対象外)
 ① 選定療養の対象となる長期収載品である(厚労省から一覧表が示されている)。
 ② 患者の希望で処方又は使用する(患者の自由な選択と同意があった場合に限る)。
 ③ レセプトの「14 在宅」欄、「20 投薬」欄で算定する(対象となる長期収載品を院外処方し、処方箋料を「80 その他」欄で算定する場合も含む)。

2.「選定療養の対象となる長期収載品」と「必要な院内掲示等」

⑴ サイレース錠1mg、ヒルドイドクリーム0.3%、アリセプト錠3mg等、厚労省より「全1095品目」が示されている。ここでは全て掲載できないため、詳細は、厚労省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
の一番下にある「対象医薬品リスト」を参照されたい。

⑵ 当該医薬品を処方等又は調剤を行おうとする医療機関は、本制度の趣旨を患者に適切に情報提供する観点から、本制度の趣旨(下記、四角囲み)及び特別の料金について院内の見やすい場所に患者にとって分かりやすく掲示しなければならない。また、当該掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならない。ただし、自ら管理するホームページ等を有しない医療機関は、この限りではない。なお、ウェブサイトへの掲載について、令和7年5月31日までの間、経過措置がある。

*創薬力強化に向けて、革新的な医薬品等の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行うため、イノベーションの適切な評価などの更なる薬価上の措置等を推進することとしているところ、医療保険財政の中で、こうしたイノベーションを推進するため、後発医薬品の安定供給を図りつつ、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを行うこととしている。本制度は、こうした政策的な要素を考慮した上で、具体的には、医療上の必要性があると認められる場合等は、保険給付するという前提に立ちつつ、後発医薬品が存在する中においても、薬剤工夫による付加価値等への患者の選好により使用されることがある等の長期収載品の使用実態も踏まえ、長期収載品の処方等又は調剤について、患者の自己の選択に係るものとして、その費用を患者から徴収することとしたものである。

3-1.選定療養の対象となる場合

(院外処方・院内処方 共通)
⑴ 「患者の希望(患者の自由な選択と同意があった場合に限る)」により、上記「2」⑴の医薬品を院外処方又は院内処方した場合は、選定療養の対象となる。(入院中の患者は選定療養の対象外)

(院外処方の場合)
⑵ 選定療養の対象となる場合は、処方箋に長期収載品の銘柄名を記載し、併せて、「患者希望」欄に「✓」又は「×」を医薬品ごとに記載する。

(院内処方の場合)
⑶ 選定療養の対象となる場合は、患者一部負担金とは別に「特別の料金」を徴収する。「特別の料金」の計算方法は長文かつ複雑であるため、ここでは割愛する。詳細は、厚労省事務連絡を参照されたい。

厚労省事務連絡
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001275337.pdf

⑷ レセプトの「摘要」欄には、当該医薬品名の後に「(選)」を記載し、所定単位につき、選定療養に係る額を除いた薬価を用いて算出した点数を記載する。

〔記載例〕
●●●錠(選) 1錠
△△△錠   1錠 17×

3-2.選定療養の対象とならない場合

(院外処方・院内処方 共通)
⑴ 上記「2」⑴の医薬品を処方等する場合であっても、以下①~⑤のいずれかに該当する場合は、選定療養の対象とならず、従来通り、患者一部負担金のみを徴収する。
【編注】⑤の理由は、レセプトの「14 在宅」欄、「20 投薬」欄で算定する場合に用い、院外処方の場合は用いないと考えられる。

① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師が判断する場合。

(※)効能・効果の差異に関する情報が掲載されているサイトの一例
PMDAの添付文書検索サイト:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
日本ジェネリック製薬協会が公開する「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」:
https://www.jga.gr.jp/2023/09/14/230914_effectiveness.pdf

② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。

③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合。

④ 後発品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。

⑤ 後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難な場合。

⑵ 上記⑴①~⑤のいずれかに該当する場合は、レセプトの「摘要」欄に、以下のうち該当するものを記載する。

レセプト電算処理システム用コード

左記コードによるレセプト表示文言

820101320

長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異があるため

820101321

患者が後発医薬品を使用した際、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、長期収載品との間で治療効果に差異があったため

820101322

学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されているため

820101323

剤形上の違いにより、長期収載品を処方等の必要があるため

820101324

後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難なため

(院外処方の場合)
⑶ 上記⑴①~④のいずれかに該当する場合は、処方箋に長期収載品の銘柄名を記載し、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」を医薬品ごとに記載する。併せて「保険医署名」欄に署名又は記名・押印する。

(院内処方の場合)
⑷ 上記⑴①~⑤のいずれかに該当する場合は、従来通り、患者一部負担金のみを徴収し、「特別の料金」は徴収しない。

【参照】フローチャート

下記参照。(厚労省事務連絡等をもとに、保険医協会が作成)
※2024年9月26日付で「「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その3)」の一部訂正について」が示されたため、問1の内容を反映した。

(院外処方の場合のフローチャート)
※当該フローチャートは厚労省通知等で示されている基本的な流れにもとづき当会が作成したもの。処方医によっては「処方箋には長期収載品の銘柄名で記載するが、後発品の処方でも差し支えない」と判断する場合もあると考えられる。

フローチャート(院外処方の場合)


(院内処方の場合、レセプトの「14 在宅」欄にて算定する場合のフローチャート)
※当該フローチャートは厚労省通知等で示されている基本的な流れにもとづき当会が作成したもの。

フローチャート(院内処方の場合)

厚労省疑義解釈とよくあるQ&A

厚労省疑義解釈は、下記の下段に掲載されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html


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