事務局 小川の勝手にコラム~歯科医院に思うこと~(第7回/全12回)【情報掲示板】情報掲示板

事務局 小川の勝手にコラム~歯科医院に思うこと~(第7回/全12回)

【第7回】新患率はどのくらい?

2021-10-27

[コラム]

1.患者数の新患率を把握をしているか?

 皆さんの医院では、毎月レセプトチェックをされていますか?算定漏れや保険証の転記間違い、摘要欄記載など、請求前のチェックは必ずしていると思います。

 では、新患率・中断率は確認しているでしょうか?新患率とは、初めて来院した患者さんの割合(※初診料を算定した数ではありません)。中断率とは、未来院になった患者さんの割合(※2~3ヵ月間来院しないなど、定義は医院によって様々)。つまりは、現在の患者数を把握しているか?ということです。

 医院と患者さんの関係は、ファンクラブみたいなもの。医院にとってファンの人数は経営に直結するだけに概算でも把握しておきたいところです。

2.新患率は1割が理想

 時間と労力をかけ、どれだけ綿密な中断防止策を施したとしても、転居・病気・死亡など、患者事情による自然減はあります。もちろん自然増も一定期待はできるものの、何もしなければファン数は時間の経過と共に緩やかに減少するでしょう。特に近隣に同業者の新規開業があれば、医院との関係性が薄い患者(にわかファン)を中心に1~3割が一気に流出することも予想されます。

 つまり、安定した売り上げ確保のためには、自院患者の新陳代謝を一定想定し、新規ファン獲得のため、何らかの仕組みを構築しておく必要があります。もちろん既存ファンの心を常に掴んでおくことは言うまでもありません。ちなみに新規ファン獲得基準(新患率)は、毎月のレセプト総数の1割が理想。毎月500件のレセプト請求があれば、その内50件は新患である必要があります。

3.つよみをアピールしよう

 新規ファン獲得には、広報の仕方がポイントです。広報最大の目的は、他院との「差別化」。医院の独自性を見える化し、アピールすることで、まだ受診歴のない患者さんに対し、魅力を感じさせ、来院に繋げます。多くの医院では、矯正やインプラント等、特殊な治療を全面に出すことが多いようですが、あえて見えにくい「医院のつよみ」をアピールするのもありです。例えば、「スタッフ全員が明るいクリニック」「待ち時間最短を目指す医院」「分かりやすい説明の仕方に拘っています」など「経営理念」とも言える内容のアピールです。(※広告できる内容等は、医療法等で規定されています)

 さらに優先すべきは、既存の患者さんの口コミや自院スタッフによるお誘い。販促グッズやチラシを作成し、誘いやすい仕組みを構築すれば労力はかかっても、コストはそれほどかかりません。また口コミの場合、精度は高くなくても、質の高いファン獲得が期待できます。

 手っ取り早い方法として、ウェブサイトで患者を誘導し、出来高で支払う大手サイトもありますが、ここを通じて来院した患者さんの質は判断が大きく分かれるようです。また、看板やウェブサイトを利用する場合は、どのような患者さんを何人獲得したいのか?費用対効果を計算した上で実施しましょう。

※本コラムは、福島県保険医協会事務局に入局し、歯科担当歴20年を越えた事務局(小川)が、自由気ままに勝手に意見するコラムです。あくまで小川の経験的な視点で書き綴ったものですので、予めご留意頂ければ幸いです。