事務局 小川の勝手にコラム~歯科医院に思うこと~(第6回/全12回)【情報掲示板】情報掲示板

事務局 小川の勝手にコラム~歯科医院に思うこと~(第6回/全12回)

【第6回】審査支払機関から届く書類は必ず確認を

2021-09-28

[コラム]

1.審査支払機関から届く書類

 皆さんは、毎月審査支払機関(国保連合会・支払基金)から届く書類は全て目を通しているでしょうか?さすがに増減点連絡書・通知書(※)や返戻付せんが添付されたレセプトの存在を知らない方はいないでしょう。

 しかし、なぜ返戻・査定されたのか?その都度理由を確認し、請求内容を変更するなどの対策を早急に講じている医療機関は、そう多くはないかもしれません。

※組織によって名称が違います。支払基金...増減点連絡書 国保連合会...増減点・返戻通知書

2.「返戻」と「査定」の違い

 「返戻」は、患者の資格情報(保険者番号、公費番号等)や「療養の給付」欄の請求点数等、レセプト請求上の誤りを知らせるものです。

 一方「査定」は、審査支払機関がレセプト審査を行う際、内容に妥当性を欠くと判断したものについて増点または減点するもので、その理由は「A.医学的に適応外」、「B.医学的に過剰・重複」、「C.A、B以外で医学的に適当でない」「D.算定要件に合っていない」に分類されます。

3.歯科は医科と比べて返戻が多い

 歯科診療は、ご存知の通り、前後の処置内容が相互に関係し、物語が成り立っています。
 
 従って、診療途中の内容を査定されると、保険診療上の流れが断絶されてしまい、その後の保険請求上の物語を立て直すことは困難を極めます。結果この影響は、歯科医院だけでなく、患者さんにも及ぶことは容易に想像できるでしょう。そこで審査支払機関では、その点を考慮し、いきなり査定ではなく「部分的に返戻」するという形をとる場合があります。

 歯科は医科に比べて『レセプトの返戻率が高い』と言われている理由がここにあるわけです。

4.返戻・査定は早急対応が必須

 今月から、支払基金ではAIによるレセプト審査をスタートしました。この審査方法の変更が、現状の歯科特有の返戻システム(部分的な返戻)にどのような影響を及ぼすかは不明ですが、『部分的な返戻』がいつ『査定』に切り替えられてもいいよう、対策を講じておくことが必要です。

 返戻・査定対応は、同じ轍を踏まないよう、とにかく早急に対策を講じることが鉄則です。

 返戻された場合は、求められた症状所見・検査等、審査に必要な情報をレセプトの「摘要」欄に記載し、付せんを貼ったまま翌月提出分のレセプトと一緒に再請求します。次月以降の同様のレセプトには、予め必要な情報を記載することで同じ返戻をなくすことができます。

 また査定された場合は、その理由が記号で示されていますので、詳細の理由を分析・解明しましょう。

 なお一生懸命診療しているにも関わらず、知らぬ間に返戻・査定され続けているというのは、一番避けたいところ。審査支払機関から届いた書類は必ず目を通すよう心がけ、必要に応じて早急に対応できる体制をつくっておきましょう。

※本コラムは、福島県保険医協会事務局に入局し、歯科担当歴20年を越えた事務局(小川)が、自由気ままに勝手に意見するコラムです。あくまで小川の経験的な視点で書き綴ったものですので、予めご留意頂ければ幸いです。