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「ろっこく」

2021-02-26

[コラム]

「ろっこく」

 浜通りの主要道路である国道6号線を双葉郡の方は「ろっこく」と呼ぶ風習がある。この忘れかけていた懐かしい響きに出会ったのは昨年11月。同時期に二度だ。

 一度目は、当新聞(新春座談会)の企画で平山勉氏(富岡町在住)の話しを聴いていたとき。二度目は中通りの某医療機関スタッフの方(震災前、浪江町内で勤務)と話しをしていたとき。いずれも相手が発した言葉の響きと同時に、双葉町に住んでいた頃の懐かしさや双葉郡の情景が思い出された。

 その「ろっこく」を相馬市から南下し、双葉町に降り立ったのは昨年12月。10年目の震災記録集(今年5月に発刊予定)に用いるだろう写真撮影を目的に、駅周辺と伝承館、産業交流センターを訪れた。伝承館、産業交流センター周辺は私の知る面影は全くなく、中間貯蔵施設と復興祈念公園の工事の様相であった。駅周辺は一部更地になっているものの、私の記憶にある風景が残っていた。(撤去されないまま放置されている自転車は別な意味で印象的であった)。

 撮影がてら駅東側を散策していると、「大幸食堂のラーメンは旨かったな」とか「木造駅から建て替えた際の併設施設の名称(ステーションプラザふたば)は同級生が考案したものだったな」とか「通学途中にカワセミを初めて発見した時は嬉しかったな」なんて記憶が呼び起こされた。

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 私自身、あと一年もすれば、双葉町で過ごした年数と福島市で過ごした年数がちょうど同じ(18年)になります。時の経過とともに震災前や震災・原発事故の記憶は薄れてしまうかもしれませんが、お住まいの地域に関わらず、先生方の思いや経験、記憶を「記録」に残すことはできると考えています。
 編集担当事務局としてよりよい冊子に仕上げたいと考えておりますので、震災記録集(あれから10年)(仮称)への多くの方のご執筆をお待ちしています。

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福田 進之介/保険医協会事務局