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ASD者の良好な社会転機が得られ易くなるには

2021-01-26

[コラム]

ASD者の良好な社会転機が得られ易くなるには

 自閉症スペクトラム障害(ASD)は社会性の障害、言語・コミュニケーションの障害、興味の限局と常同的・反復的行動を3主徴とし、知的障害がなくとも成人期に良好な社会転機をとる可能性は高くない。

 アレキシサイミア(ALT)は性格特性の概念で、自分の感情を認知・自覚したり、表現したりすることを苦手とし、想像力や空想力の欠如を示す。

 近年、ALTはASDに併存することが報告され、共感能力(認知的・情動的)、衝動性の欠如等、ストレス対処や対人関係との関連が研究されている。ASD・ALT共に定型発達者(TD)への共感という点で社会生活の中で困難さを示すが、最近の研究で、①ASD者はASD類似行動パターンの他者に共感を示しALT傾向が高いほど認知的共感性は高くなる、②ALT傾向とASD傾向を統制するとASD者はASD者に援助を行い易くなる、③情動的共感能力の弱さはASDよりもALTに依存すると報告されている。

 適切にプログラムされたロボットを用いた方法でASD者への短期コミュニケーション介入が良好な結果を得ていることからも、TDがASD者の共感特性(ASD・ALT傾向)を実際のコミュニケーションに取り入れることができれば、ASD者の良好な社会転機は得られ易くなるはずである。

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(KKAC)