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2020-05-27
[コラム]
あるのが当たり前と思っていたことが、なくなったり出来なくなってしまうことがたくさんあり大変悲しい。4月になっても入学式が行われず、いつまでも授業は始まらない。桜は咲いても花見は出来ない。飲み会も出来ない。親や親戚が亡くなっても骨になるまで会えず、当たり前の葬儀は出来ない。
診療もいつも通りには出来ない。塩化ビニール板越しでは拘置所の面会のようだ。しかもマスク越しで表情は見えないし、わたしの声の通りは一層悪い。実は普段からわたしの滑舌は悪かった様だ。
消毒に精が出る金曜の午後。次亜塩素酸水を箱買いして家内に叱られた。一方患者様から聞かれるのはさらに辛い生活状況の話ばかり、またコロナ感染対策の医療現場からは厳しい状況の話ばかりが聞かれる。わたしのクリニックとは厳しさの次元が違っている。
テレビから聞こえる首相の話は何か楽観的で空々しく聞こえる。それでも希望は失わずにいたい。いつかこの原稿を昔の話として読めることが出来ればと思い、わたしの仕事ぶりでも地域の人の暮らしにわずかであっても助けになるようにと思って仕事を続けている。日はまた昇ると信じて。
なおコロナウイルス感染症で亡くなられたすべての方のご冥福をお祈りいたします。
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(廣山 祐治(ひろやまメンタルクリニック)/福島市)