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"未来から選ばれる医院"になるための第一歩 【第24回】

カルテ開示

2020-03-25

[コラム]

(1)「診療情報の開示」は義務

 すべての医療機関は、2004年に施行された「個人情報保護法」に基づいて、患者の診療情報を含め、個人情報の適切な取得・保管・利用などの管理義務を負っています。
 これに伴い、患者本人や親族等(以下:申立人)から診療情報の開示を求められた際、速やかに開示する義務があります。いわゆる「カルテ開示」です。
 診療情報とは、日常の診療過程において、患者の身体状況、病状、治療等について、医師・歯科医師、その指揮・監督下にある医療従事者が知り得た全ての情報です。

(2)「開示請求手続き」とは

 申立人は開示請求する場合、医療機関に対して書面で実施。医療機関は、速やかに情報を開示するか否かを決定し、結果を書面で申立人に通知します。
 なお、申立を行える条件は限定されているため、医療機関は本人確認が必須となります。(下記参照)

①患者が成人で判断能力ある場合は、患者本人
②患者に法定代理人がある場合は、法定代理人。ただし、満15歳以上の未成年者は、疾病の内容によって本人のみの請求を認めることができる。
③診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人
④患者本人から代理権を与えられた親族
⑤患者が成人で判断能力に疑義がある場合は、現実に患者の世話をしている親族およびこれに準ずる縁故者


 情報を開示する際は、状況に即し、口頭や別途文書等で補足説明をするなど、適切な方法で提供します。
 また、カルテ等のコピー代金は実費(合理的な範囲内)請求することができますが、コピー代が1枚1,000円など法外な金額を設定すると、事実上、開示拒否に当たるのでご注意ください。

(3)開示は拒める

 開示を求められた際、次の事由に当てはまる場合は、情報提供・開示の全部または一部を拒むことができます。

① 対象となる診療情報の提供、診療記録等の開示が、第三者の利益を害する恐れがあるとき
②診療情報の提供、診療記録等の開示が、患者本人の心身の状況を著しく損なう恐れがあるとき
③診療情報の提供、診療記録等の開示を不適当とする相当な事由が存するとき


 開示を拒む際は、申立人に対し、異議申立ができることを教示する必要があります。一方的な理由で開示拒否はできませんので、ご注意ください。
 近年、相続トラブルによる医療機関への情報開示の申し立てが増えているようです。いらぬトラブルに巻き込まれぬよう「情報開示の手続き規程」「費用請求等に関する規程」「申立書等の書式」等は、予め整備しておきましょう。

 これまで2年間執筆させて頂きましたが、今回が最後となりました。
 今まで紹介させて頂いた内容は全て、当会実施の“わくメディ”で受講できますので、ご興味がある方は、ぜひご参加ください。ありがとうございました。


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(事務局/小川)